三菱UFJリースと日立キャピタルが1つになった三菱HCキャピタルの2022年3月期第1四半期決算が公式ホームページにて公開されました。
今回の記事ではその決算書の情報を元に個人的な見解を入れつつ、今後の見通しについてまとめています。
最後には三菱HCキャピタルをポートフォリオに組み込むのはありかも記載しているので、ぜひ最後まで御覧ください。
三菱HCキャピタル2022年3月期 第1四半期決算の数値
2022年3月期第1四半期の決算は良くはない決算内容でした。
連結業績
(%表示は、対前年同四半期増減率)
(▲はマイナス)
2022年第1四半期 | 2021年第1四半期 | |
---|---|---|
売上高 | 4077億3500万円 (73.6%) | 2348億2200万円 (-) |
営業利益 | 207億3300万円 (▲3.8%) | 215億5500万円 (-) |
経常利益 | 206億2200万円 (▲7.1%) | 221億8900万円 (-) |
四半期純利益 | 327億3700万円 (129.8%) | 142億4600万円 (-) |
1株辺り純利益 (EPS)
(▲はマイナス)
1株辺り四半期純利益 | |
---|---|
2022年3月期第1四半期 | 22.80円 |
2021年3月期第1四半期 | 15.99円 |
連結財政状態
総資産 | 純資産 | 自己資本比率 | |
---|---|---|---|
2022年 第1四半期 | 9兆4812億9000万円 | 1兆2253億5500万円 | 12.7% |
2021年3月期 | 6兆148億9600万円 | 8179億600万円 | 13.4% |
連結業績予想
2021年4月1日〜2022年3月31日までの連結業績予想
通期 | |
---|---|
当期純利益 | 950億円 (71.7%) |
EPS | 66.17円 |
直近に公表されている業績予想からの修正は無し
進捗は好調
連結業績予想で当期純利益950億円を目標としている中、第1四半期の純利益は327億円で達成率34.4%と良い滑り出しをした三菱HCキャピタル。
コロナの影響を受けつつも欧米を中心とした事業が伸長しており、特にコンテナ需要が高まっているため海外コンテナリースの収益が増加傾向にあります。
また第1四半期の結果を4倍することで算出したROEとROAはそれぞれ11.0%と1.4%となっており、こちらも例年と比較して順調。
配当政策
三菱HCキャピタルはリース事業を行っている企業の中でもトップクラスに配当利回りが高く、更に日本の銘柄では数少ない連続増配を20年以上続けている銘柄です。
決算概要書のp16には配当金・自己資本比率・配当性向をグラフにしたものがあり、こちらを見るとコロナ渦においても減配する事無く増配を続けていることが分かります。
また配当性向も40%前後を現在は推移しており、高すぎるような水準ではないので今期に関しては余程のことがない限り年間配当は予想通り26円となりそうです。
今後の三菱HCキャピタルの株価は上がるのか
良くも悪くもない決算を出した三菱HCキャピタルの今後の株価は上がっていくのが気になると思います。
先に結論を書いておくとテクニカル分析的にはかなり危険な状態なので、今は下げる可能性の方が高いでしょう。
ファンダメンタル分析
PERの目安は15倍、PBRとの目安は1倍が基準と言われている中、三菱HCキャピタルの予想PERは8.81倍、PBRは0.7倍となっており日本の平均で見ると割安感が出ている数値となっています。
このPERの値を少し深堀りしてみると、2016年から徐々にPERが下がり、2019年時点では7.3倍でした。
日本の平均が15倍なのでこの数値と比較すると今期の8.81倍はかなり割安ですが、三菱HCキャピタルの例年のPER値と比較をするとそこまで割安ではないということになります。
またROE(自己資本利益率)やROA(総資産利益率)がそれぞれ10%と5%が基準言われている中、三菱HCキャピタルの2021年度のROEは7.9、ROAは1%を予定しています。
あくまで予定なので実際はどうなるかわかりませんが、どちらもまだまだ低い水準を彷徨っています。
自己資本比率は13.4%を予定しており、目安の40%よりも遥かに少ない数値となっており、よく比較対象となるオリックスの22.3%よりもだいぶ低い数値となっています。
リース事業をメインとする企業は自己資本比率が低くなる傾向にあるので仕方ない部分はありますが、これ以上は下がらないかを注視しておきたいところです。
テクニカル分析
2021年8月19日現在の株価は577円で前日の終値から-1.03%下がりました。
現在の株価はちょうど200日移動平均線をタッチしそうなところを推移しており、更に6月21日と7月9日のレジスタンスラインに支えられているという見方もできます。
この200日移動平均線を下にクロスすると更に大きく下げる可能性があるので注意しておきましょう。
続いてRSIですが下記は2021年1月〜2021年8月現在までのRSIのグラフになります。
8月13日時点では53を超える上昇トレンドとなっておりましたが、14日からは徐々に下げており8月19日現在の数値は35.81で下落トレンドに入っています。
そして更にMACDも8月16日から下にクロスしており、急な角度を付けての下落トレンドとなっております。
この下落トレンドの中でどこまで株価が下落するかですが、現状のチャートを見ると下記の569円、549円、508円のラインが注目ポイントとなりそうです。
ポートフォリオに入れるのはありか
最後に今の三菱HCキャピタルをポートフォリオに入れるのはありかについてですが、積極的に購入したい銘柄ではない…というのが結論となります。
三菱HCキャピタルをファンダメンタルの面で見ると、悪くはありませんが特段割安感が出ている銘柄でもありません。
そして何よりテクニカル面で見るチャートがRSIもMACDも下落トレンドで、200日移動平均線を下にクロスしようとしている局面なのでかなり危険な状態です。
投資の世界では「落ちてくるナイフはつかむな」という格言もあるほどなので、下落しているからと言っていま積極的に掴みに行くのはリスクが高いといえるでしょう。
また唯一この銘柄を購入する理由になりうるとすれば、これからも積極的な株主還元を意識して増配を続けてくれる事に期待する場合のみです。
現状の配当利回りは4.46%でかなりの高配当です。
よく比較対象となるオリックスも配当利回りは3.85%でかなり高いですが、株主還元の意識は三菱HCキャピタルの方が強い傾向にあります。
高配当株ポートフォリオに組み込んで、配当金というインカムゲインを得る楽しみを味わうのは、今の数値や業績を見る限りはまだまだありだとは思います。
以上の内容を踏まえた上でポートフォリオに入れるかの最終的な判断はあなた自身で決めてみてください。
今回の記事は以上となりますが、少しでも記事が良いなと思ったら下記のボタンをポチッとして応援お願いします✨